口からも細いカメラで

3)口からも細いカメラで

鼻からのカメラで使用する通常の半分〜2/3程度の太さの内視鏡(細径内視鏡)を用いて、口からも内視鏡を挿入します。

以下のような利点と欠点がありますが、圧倒的に利点の方が多いと判断しておりますので、当院では細径内視鏡を用いております。

 

【利点】

①口〜のどで周りに触りにくいので「おえっ」としにくい

「おえっ」という嘔吐反射。これが胃カメラを辛くさせる要因の一つですが、細径内視鏡では舌の奥やのどちんこ(口蓋垂)、のどのふた(喉頭蓋)に触りにくいため、普通の太さの胃カメラより嘔吐反射が少ないです。

 

②のどの狭い箇所をスムーズに通過できる

下の写真はのどの奥(下咽頭)の画像です。写真上の穴に進むと肺へ、下の矢印の方に進むと食道に到達します。

画像を見てお分かり頂けるように、食道に行く道は非常に狭くなっています。普通の太さの内視鏡では、そこを通過する時にどうしても「ウッ」と強い違和感を感じますが、細径内視鏡ではよりスムーズに通過することができます。

 

【欠点】

①通常の太いカメラにくらべて、若干画質が劣る

内視鏡というのは、あの細いチューブのなかに 1)光を照らすための光源 2)画像を送るためのコード 3)処置具や水を入れたり、消化液を吸ったりするための穴 4)空気や水を通す穴 が通っております。内視鏡が細くなるほど、穴は小さくなり、レンズも小さくなり、光もたくさん出せなくなるのです。

※オリンパス おなかの健康ドットコム より

上の写真をご覧ください。これは細い内視鏡が出始めた頃の画像です。…かなり暗くて、胃の表面もかなりぼやけています。

下の写真は現在の普通の太さの内視鏡と、当院で採用している最新の細径内視鏡の画像との比較です。ほぼ遜色ない画像が得られるようになりました。胃がんの発見率も変わらない、という研究結果もあります。

左:現在の普通の内視鏡画像          右:当院の最新の細径内視鏡画像

しかし、わずかに画質が劣ることは事実です。当院では細かく丁寧な観察によって、精度を落とさず検査を行ってまいります。

 

②組織採取以外の処置が困難

上述した通りですが、内視鏡が細くなるほど、穴は小さくなります。組織採取は細径内視鏡専用の器具を用いることで可能ですが、例えば「出血しているところを止血する」「ポリープを切除する」などの処置は困難です。ですが、普通の胃カメラでこのような処置を必要とすること自体が非常に稀であり、ほとんど問題になりません。